『ちはやふる』38巻読んだ感想『表紙も内容も美しい・・・!』

2018年5月11日発売、2008年連載開始から10年かかって38巻目となりました。

やっと、というべきか、しかし、まだまだ彼らにとってはここは、きっと通過点でしかないところなのです。

 

高校三年生になった千早、太一、新の三人は今日、同じ会場でクイーン戦予選、そして名人戦予選の東西代表として、挑戦者決定戦に挑むことになりました。

千早の対戦相手は西日本代表である京都明星会の結川桃。千早が目指すクイーンの若宮詩暢の先輩です。

周囲を固める応援団は、それぞれの師匠や仲間たち、周防久志名人、そしてこれまでに千早や太一、新らが対戦してきた対戦相手の面々で、それぞれの思いが彼らの背中を押している、そんな張り詰めた空気の中で予選の試合が始まるのです。

そんな試合と並行して動いていたのがクイーンの若宮詩暢です。

これまでの人生で、かるた以外には全く興味を持つこともなくただひたすら一人で取り組み戦ってきた詩暢は今までであれば恐らく興味を持たなかったであろう『誰か』のために大きな冒険をすることになるのです。

 

それはクイーンである自らに挑んでくるだろうクイーン挑戦者の千早と同会の先輩である結川桃の試合を京都から新幹線で観に行くということ。

一人で新幹線に乗るのも初めてで試合では負け知らず度胸満点だった彼女は傍目にも不審者のように震えてシートに座っていたのです。

 

スノー丸の可愛いケースにおさまったスマホも、これまで写真を撮ったこともなければ写メを送ったこともない…どんな女子高生だよ?!と思いますが、どれもこれも孤独を抱えた詩暢の来し方を克明に表してきたエピソードともいえるでしょう。

 

そんな彼女を助けてくれたのは横浜アリーナのアイドルコンサートに行くのだという元気なお姉さん二人組でした。

詩暢がかるたを好きなように彼女らはとある新人アイドルが大好きで夕方からのライブだというのにグッズを買うために午前中から新横浜に入るのだという元気な追っかけのお姉さんたちでした。共通項は見いだせなさそう、と思いきやお姉さんたちは詩暢のことをテレビを見て知っていたのです。

 

元気でしっかり者の二人との思わぬ出会いで詩暢のガチガチだった気持ちが解れたころ、彼女らは名刺を渡して降りて行ったのですがこの一枚の名刺が詩暢のこれまでを打破する経験へとつながるのです。

お姉さんたちは、新幹線の車内にチケットを落としていたのです。

気づいた詩暢が名刺を頼りに連絡すると彼女らは改札を出られずにパニックになっていました。

 

詩暢は、自分に知恵と力を分けてくれたお姉さんたちにチケットの写メを撮影し、メールで送るということで手助けをしこれまでに感じたこともなかった『喜び』を覚えるのです。

彼女はかるた以外の自己評価が著しく低いひとなのですがそんな自分でも誰かのために役に立てるという気持ちに表情がほころぶのです。

 

それはまるで地上に落ちてきた天女が人の感情を初めて味わったかのようでだんだん人間臭くなっていく彼女がいとおしくすら思えるのです。

そして降り立った東京駅はまた詩暢にとってはカオスでそこは自分の知る京都とはまるで異次元のようでしたがお姉さんたちとの出会いで得たパワーを振り絞るように大塚の千早たちの戦場へと歩を進めるのです。

 

予選の戦いの描写は札の一枚一枚を克明に描くほどにスローペースですが

その分、紙の上で札が空気を切り裂くような音が聞こえそうな鋭さでじわじわと進んでいるという感じです。

よれよれになってそこにたどりついた詩暢は、これまで遠巻きにしていた桃に「同会の先輩」として応援に来たのだと告げ

お土産を渡そうとします。しかし桃は、それまでの距離を思ってぎこちない対応をしてしまいますが、その詩暢が見せた気遣を素直に受け千早との二回戦目に挑んでいくのです。

 

この38巻では、千早たちの試合だけでなく、取り巻いているみんなの立ち止まらないパワーを感じたそんな瞬間でした。

あと何冊で終わるのかなと思って読了しつつ終わらないで欲しいなぁ、というのがファンとしての偽らざる気持ちなのでした。

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