セキララマンガ~眠れぬ夜に届け~1巻感想!「正しくあること。美徳とその本音。葛藤」

 

「良い人でいなさい」「きちんとして」「真面目にやれ」「頑張る」「優しい人になりなさい」そして「美しくあれ」。

全て、悪い事ではありません。寧ろ良い事です。しかしそれって物凄く窮屈なことではないでしょうか。この国には多くの「美徳」が存在し、それらを守ることは確かに美しい事です。

でもそれは、本当に自分のセキララな本音なのでしょうか。

 

 

本作はオムニバス形式で様々な人間の、特に若い女性に焦点を当ててはいますが、年齢性別問わずグサっと刺さる言葉が並んでいます。

「正しい事」「美しい事」をやってきた筈なのに報われず、自由を求めても不条理に阻まれ、寧ろ世の中からどんどん阻害されていくような気すらします。

それは誰が悪いのでしょうか。自分がどこかで選択肢を間違えてしまったからでしょうか。やり直しは二度と利かないのでしょうか。

 

答えは身近にありそうな気もしますが、中々その「答え」に人は辿り着けません。

 

 

「答え」の正体は一体何なのでしょうか。本作に登場する人物は皆、悩みを抱えています。

自分が求める自由が中々手に入らない事への焦燥と、人から押し付けられる価値観の差にもがく人。

正しい事よりも自分の居場所がなくなる事への恐怖感に支配される人、恋人との距離感がわからない人、愛する人との関係に名前がない事を不安に感じる人。

 

全ての悩みに明確な答えはありませんが、タイトル通り赤裸々な本音が胸の内にあるのに、皆それを上手く外へ出せないだけなのです。そして、それは本人が悪いわけではありません。ましてや、周りの人に明確な悪意があるとも言い切れません。

 

本作は明確な「答え」を明かすというより、「あなたの本音はどうなの」と問いかけてきます。

人は皆、悩みを抱えていますが、その悩みに対して奥底にある本音をぶつけ、向き合う事は非情に難しいのです。

それは本能や感性に従って生きる、というのも少し違いますよね。自分の本音ときちんと対話する、といった感じでしょうか。

 

好きなもの、嫌いなもの、シンプルな欲求、それらを少しずつ並べていって、自分の本音と向き合わなければならない事を読者に投げかけてきているのです。

オムニバス形式な本作内でも、プロローグからエピローグまで複数のエピソードに渡って「夢を叶えた姉」と「それを妬ましく思う妹」が出てきます。

夢を叶える為に母と衝突した姉、それを見て自分の欲求を抑え込んだ妹。姉は妹にこう言うのです。

「まずは自分の為に美しくあれよ」と。窮屈な世界に生きる全ての現代人の眠れぬ夜に、作者の「本音に向き合っているのか」という問いかけがグサっとくる、そんな一冊です。


 

 


 

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